
離婚したら、後悔するでしょうか。
このまま我慢して連れ添うほうが、あとで悔いが残るかもしれません。
どちらを選んでも間違いに思えて、分かれ道の手前で足が止まってしまいます。
そんな夜を過ごしている人は、少なくないはずです。
私は、妻に約10年裏切られた50代の夫です。
不倫を知って、追い出す道も、別れる道も、本気で考えました。
妹も娘も、離婚してほしいと望んだのです。
それでも、私は別れない道を選びました。
その選択が正しかったのかは、今も分かりません。
24歳のときにも、私は一度離婚しています。
二人の子を片親にした後悔は、30年近くたっても消えていないんです。
どちらの道を選んでも、後悔はついてきます。
だから、離婚を止める気にも、勧める気にもなれません。
- 離婚した側と我慢した側で、悔いの中身がどう違うのか
- 24歳の離婚で子を片親にした、30年消えない後悔
- 後悔をゼロにできないと知ったうえで、何を目安に決めるか
離婚した側と我慢した側の言い分
熟年離婚の後悔は、2つの方向に分かれます。
ひとつは、別れたことを後悔する道です。
もうひとつは、別れずに我慢することを選択した道になります。
世の中の記事が大きく扱うのは、離婚した側の不安ばかりなんです。
でも、後悔が残るのは、離婚した人だけではありません。
| 選んだ道 | よく語られる悔い |
|---|---|
| 離婚した | ひとりの孤独、お金の不安、子との距離 |
| 離婚しなかった | 消えない不信、我慢した年月、自分を後回しにした感覚 |
こうして見比べると、どちらが軽いとも重いとも言えません。
片方の後悔から逃げたところで、結局もう片方が待っています。
離婚して悔いた人の話も、我慢して悔いた人の話も、私には軽く聞こえません。
24歳の離婚で悔い、50代の今度は踏みとどまって、いまも迷っているからです。
そう考えると、片方だけを勧める書き方は、私にはできないんです。
お金と孤独をめぐる後悔の中身
離婚して後悔した、と語られるのは、お金と孤独、そして子との関係です。
弁護士のサイトには、たしかに財産分与や年金分割のあとで苦しくなった人の声が並びます。
家事を相手に任せてきた人ほど、ひとりになってから暮らしの重さに気づくそうです。
子との距離も、よく挙がります。
親が別れたあと、行き来が減って疎遠になる家も珍しくないと聞きました。
ただ、これはあくまで一般に言われる傾向にすぎません。
誰もが同じ道をたどると決まっているわけでもないでしょう。
お金や制度の中身は私には解説できないので、弁護士や法テラスなどの窓口で確かめてください。
熟年で離婚していない以上、この部分を体験としては書けません。
でも、24歳の離婚のあと、知らない土地へ移り住んで、深い孤独を味わいました。
ひとりになる寂しさは、やはり頭で考えるよりずっと重いです。
一度目の離婚のあと、知らない県へ移り住みました。
誰も自分を知らない場所の静けさは、自由というより孤独に近いものです。
熟年離婚そのものの話ではありませんが、ひとりになる重さだけは隠さずに書きます。
仲のいい家族を見たあとの静けさ
踏みとどまった側にも、後悔と呼ぶしかない迷いが残ります。
道ですれ違う家族が、楽しそうに笑っていることがあります。
そういう姿を見かけるたび、うちにはもう訪れない光景だな、と胸がざわつくんです。
別れなかったからといって、失った時間が戻るわけではありません。
妹は、これ以上お兄が苦労するのを見たくないから離婚してほしい、と言いました。
娘は、情をかける相手は選ぶ必要がある、と話しています。
最後の1回だけ妻を信じてやる、と伝えると、娘は本当にもういいから、とだけ返しました。
家族がそろって別れを望むなかで、それでも別れない側を選んだんです。
その選択が正しかったのかは、今も答えが出ていません。
選んだあとに待っていたのは、静かに耐える日々ではありませんでした。
発覚から何か月も、喧嘩をしては踏ん張る繰り返しだったんです。
同じことを何度伝えても、同じところでぶつかります。
そうやって季節がいくつか過ぎたころ、妻はやっと私の言うことを聞くようになりました。
やり直す条件として妻に頼んだのは、嘘をつかないことと、言ったことを守ることでした。
その2つだけを、何度も伝え続けています。
妻が仕事を探していたときは、履歴書を出す前から会社の周りをうろついていました。
変に受け取る人もいるからやめておけ、と伝えてもやめません。
結果は、不採用でした。
難しい頼みは、ひとつもしていないんです。
それでも同じところで崩れる日が続くと、選んだ側の足元は静かに揺れます。
その半年ほどあと、今度は妻が病気になったんです。
入院と退院を繰り返す妻のもとへ、それから毎日通いました。
これだけのことがあったのに、なぜここまでするのか。
そう考えた日も、一度や二度ではありません。
別れなかった理由は、不倫されても離れなかった私の理由にまとめています。
10年も裏切り続けた相手を許すには、かなりの人格が要ります。
そのため、自分も相当ひどかったと思うようにしています。
娘にも、10年間気づかなかった俺らにも責任がある、と言い聞かせてきました。
本当に同罪だと考えているわけではありません。
そう捉え直さないと、前へ進めなかっただけなんです。
24歳で二人の子と離れた代償
ここまでは踏みとどまった話でしたが、もうひとつ、消えない後悔があります。
18歳で授かり婚をして、24歳のとき、一度目の結婚が終わりました。
離婚届にハンコを押して送り返したあと、やっぱりだめだと思い直したんです。
仕事を休んで、県外から地元の市役所へ飛びました。
離婚を止める書類を出すためでした。
ところが、前妻の離婚届は数分前に窓口へ届いていました。
あと数分で、人生は変わっていたかもしれません。
上の娘と長男の二人は前妻が引き取り、自分の子を片親にしてしまったんです。
あのとき別れたのが正しかったのかは、30年近くたっても分かりません。
この後悔だけは、時間が薄めてくれませんでした。
だからこそ、二度と子どもを片親にしない、と誓いました。
妻と別れずにいる理由の芯には、いまもこの誓いがあります。
一度目で味わった痛みが、二度目で踏みとどまる力になりました。
後悔は消せなくても、次に選ぶときの支えには変わります。
発覚するずっと前にも、別れを考えた時期がありました。
毎日のように喧嘩をしていたので、妻もたまらないだろうと思ったんです。
別れてあげるほうが妻のためではないか、とまで考えました。
そこで踏みとどまれたのも、やはりこの誓いがあったからです。
二人の子と離れた痛みは、30年たっても薄れません。
忘れられないからこそ、もう同じことをしたくないと思い続けています。
後悔そのものを、なかったことにはできません。
ただ、その痛みは次の判断の目安になります。
人に決められた道の行きつく先
両方の後悔を見てきて、たどり着いた答えがあります。
後悔をゼロにできる選択は、たぶんありません。
離婚しても、しなくても、選ばなかったほうの道は心のどこかに居座ります。
だとしたら、目指すのは後悔しない選択ではないはずです。
悔いを少しでも減らし、何より自分で決めたと言える道を選ぶことになります。
例えば、妹から離婚を勧められたときも、なぜか腹が立ちました。
妻を好きかと聞かれれば、好きだとは言えません。
それなのに、人に道を決められることだけは、どうしても嫌だったんです。
誰かに任せた選択は、うまくいかなかったときに恨みへ変わります。
自分で決めた道なら、たとえ転んでも自分で立て直せるはずです。
動き出す前に、頼れる先だけは確かめてください。
つらくて眠れない、食べられないときは、公的な相談窓口やカウンセリングがあります。
慰謝料や財産分与、年金分割といった法律のことは、弁護士や法テラスの領分です。
素人の私には、金額や手続きの中身までは書けません。
お金と住まいの並べ方は、熟年離婚の準備でお金の前に決めることにまとめています。
家族の言うとおりに別れていたら、いま何を思っていたでしょうか。
たぶん、うまくいかないたびに家族のせいにしていたと思います。
自分で決めた道は、うまくいかない日も自分で引き受けられます。
苦しい日が続いても、そこだけが私を支えてくれています。
答えが出ないまま隣にいる今
離婚して後悔するのか、我慢して後悔するのか。
その答えは、私にも出せませんでした。
それでも、後悔のない道はなくても、納得できる道はあります。
どちらの悔いも知っている側として、それだけは伝えたいんです。
不倫が発覚した今も、妻は隣にいます。
信用は一度で戻らないので、取り戻す作業がまだ続いているんです。
信頼を築くのは簡単ではないけれど、壊すのは一瞬でした。
そして壊れた信頼は、簡単には戻りません。
急いで答えを出さなくても大丈夫です。
あなたの分かれ道は、あなたのペースで選んでください。
熟年離婚には、別れて悔いる道と、別れずに悔いる道の両方があります。
どちらを選んでも、選ばなかったほうの重さは残ります。
私は24歳の離婚で子を片親にして悔い、50代の今度は踏みとどまって、まだ迷っています。
だから、あなたにどちらかを勧めることはできません。
目指せるのは、後悔しない選択ではなく、自分で決めたと言える選択です。
お金や法律のことは弁護士や法テラスへ、つらさが強いときは公的な窓口へ、どうかひとりで抱えないでください。
ここまで読んでくれて、本当にありがとうございました。
熟年離婚を決める前に確かめるお金と心熟年離婚は損得だけでは決められません。別れた後悔と、踏みとどまった後悔の両方を知る50代の夫が、お金と心の順番で書きます。


