
長く連れ添った相手と、なぜ最後に別れることになるのか。
調べれば、統計でまとめられた原因ランキングが並びます。
数字は正確でも、そこに自分の家は出てきません。
知りたいのは、うちがどこで壊れかけているのか、ではないでしょうか。
私は、妻に約10年不倫された50代の夫です。
我が家が壊れかけた原因は、はっきりしていました。
それでも、別れる道は選びませんでした。
原因があることと、離婚することは、同じではなかったんです。
- 一般に言われる熟年離婚の原因と、それが熟年で表に出てくる理由
- 我が家で起きた妻の不貞と、その根にあったもの
- 原因が分かっても、行き先が離婚だけとは限らないという見方
一般に語られる熟年離婚の原因
まず、世間や専門家がよく挙げる原因を並べます。
断定はしません。
あくまで一般にこう言われている、という話として読んでください。
| よく挙がる原因 | 語られる中身 |
|---|---|
| 価値観のずれ | 長い年月で、お金や生き方の感覚が少しずつ離れていく |
| 不満の蓄積 | 小さな我慢を言えないまま、静かに積み重なっていく |
| 定年後のすれ違い | 一緒にいる時間が増え、かえって距離が見えてしまう |
| 不貞(浮気) | どちらかが、家庭の外に心や体を向けてしまう |
| お金や経済 | 生活費や老後の不安が、関係の余裕を奪っていく |
こうして並べると、原因がひとつだけの家のほうが少ないと分かります。
多くは、いくつかが少しずつ重なって、長い時間をかけて別れの形になっていくんです。
だからこそ、どれが本当のきっかけだったのかは、渦中にいるほど見えにくくなります。
熟年という時期に、原因がまとめて表へ出るのには理由があると言われます。
子育てが一段落して、定年で一緒に過ごす時間が増えるからです。
役割で埋まっていた毎日に、ふと空白ができます。
その空白へ、長年ふたをしてきた不満やずれが、静かに浮かび上がってくるんですね。
若い頃なら忙しさでやり過ごせたものが、時間ができたぶんはっきり見えてしまいます。
原因が急に生まれるというより、ずっとあったものが隠せなくなる時期なのかもしれません。
どれかひとつだけで壊れる家は、少ないのでしょう。
うちも振り返れば、価値観のずれも、すれ違いも少しずつありました。
それなのに当時の私は、うちは大丈夫だとどこかで甘く見ていたんです。
長く一緒にいるほど、原因は当たり前の景色にまぎれて見えなくなります。
10年疑わなかった我が家の原因
ここからは、一般論ではなく我が家で起きたことです。
うちの原因は、はっきりしています。
妻の不貞でした。
証拠に残るのは6年、最後は妻自身が約10年だと認めています。
相手も、ひとりではありませんでした。
それを知ったのは、50代になってからです。
どれほど気づかずにいたか、自分でも情けなくなります。
妻がどこで誰と会っているのかを、一度も疑いませんでした。
出かけていく背中にも、帰ってきた顔にも、引っかかりを覚えたことがないんです。
10年ものあいだ、嘘は生活のなかに溶け込んでいました。
原因はずっと目の前にあったのに、それを原因だとすら思わずに暮らしていたわけです。
ところが、不貞のひと言で片づけると、本当の原因を見落とします。
妻をたどっていくと、その底にはいつも同じものがありました。
寂しさを外で埋めようとし続ける人だったんです。
のめり込んだ先は、30代ではある集まり、40代では怪しい投資でした。
そして最後は、家庭の外の男の人たちへ向かいました。
埋める先は変わっても、結局は同じ寂しさだったように思えます。
妻の不倫は、まぎれもない原因です。
裏切られた痛みも、今なお消えていません。
ただ、浮気者と名づけて終わらせると、なぜそこまで外を求めたのかが見えなくなります。
だから、あえてもう一段下まで見にいくことにしました。
相手を許すためではなく、我が家の本当の原因を知るためです。
妻の言い分と実際の順番
妻は発覚したあと、話ができなかった、寂しかった、相談できなかった、と言いました。
その言葉を、もちろん頭ごなしに否定するつもりはありません。
妻が寂しかったのは、たぶん本当のことでしょう。
それでも、順番だけは書き残します。
家で口をつぐむようになったのには、理由がありました。
娘が嫌がることを、妻はやめてくれなかったんです。
触られるのが嫌だと娘が言っても、妻は髪を触り続けました。
私が苦手だと伝えた刻み野菜も、弁当に乗ったままでした。
どれも小さなことです。
でも、子どもの前で言い合いにしたくなくて、黙るほうを選びました。
話せなくなったのは結果であって、原因ではありません。
こうして家から会話が消えたあと、妻は外へ向かったんです。
小さなお願いが通らない日が重なって、そのうち口をきかなくなりました。
その静けさの先で待っていたのが、家庭の外の相手だったんです。
沈黙が先にあって、外の相手はそのあとでした。
この順番だけは、どうしても外せません。
✎並べたままにする理由
寂しかった、という妻の言葉も、黙るしかなかった、という私の実感も、たぶん両方が事実です。
原因を探すとき、片方だけを悪者にすると、かえって見えなくなるものがあります。
そのため、妻の言い分もこうして並べました。
あなたが、あなたの家のことを、あなた自身の目で見られるようにと思っています。
原因を消すために別れた24歳の結末
原因がはっきりすると、人はつい、別れるしかないと考えます。
私も、一度はそう思いかけたんです。
でも、18歳で最初の家庭を持って、24歳で別れています。
原因は、前妻がある集まりにのめり込んだことでした。
子ども二人は前妻が引き取り、移り住んだ先でひとりになりました。
あのとき子どもを片親にした後悔は、今も消えていません。
あの離婚は、たしかに原因のはっきりした別れでした。
それなのに、はっきりしていたからといって正しかったとは思えません。
別れれば消えると思っていたのに、残ったのは子どもと離れた静かな部屋だけでした。
原因をなくすことと、自分が楽になることは、同じ方向を向いていません。
それを、身をもって知りました。
二度目の危機で原因が妻の不貞だと分かったとき、見方だけは変えました。
別れるための理由として見るのを、そこでやめたんです。
まだ繕えるかどうかを見極めるために、もう一度見つめ直しました。
同じ見つめ直しが、別れる決心にも、やり直す判断にも使えます。
それを、一度目の離婚が教えてくれていました。
これだけの原因があってなお別れなかった経緯は、不倫されても離婚しなかった私の理由にまとめています。
先に死ぬのは、たぶん自分のほうだと思っています。
私がいなくなったあと、娘と妻が絶縁してしまうのが、いちばん怖いんです。
妻にとって娘は、世界でただひとりの子どもでもあります。
だから、原因が見えたうえで残るほうを選びました。
あなたの答えは、あなたのものでいいんです。
心をすり減らさずに原因を見る手順
原因と向き合う作業は、心をすり減らします。
勢いのまま動くと、あとで自分が苦しくなるんです。
遠回りをして分かったことを、順番に並べてみます。
- 原因を、感情ではなく事実として紙に書き出す
- 片方だけを悪者にしていないか、いったん立ち止まる
- 別れる場合のお金や手続きは、ひとりで抱え込まない
- つらくて眠れないときは、公的な窓口を頼る
お金や手続きの中身は、やはり素人の私には書けません。
慰謝料や財産分与、年金分割といった話は、弁護士や法テラスの領分です。
熟年離婚そのものをどう考えていくかは、熟年離婚を選ばなかった夫が見た両方の後悔にまとめています。
別れる理由ばかり数えていた日々
原因を探していると、いつのまにか別れる理由を数えている自分に気づきます。
ただ、その作業の意味は、そこだけにあるわけではありません。
何が家庭をここまで追い込んだのかを知れば、まだ繕える場所が残っているかも見えてきます。
私は、原因を見つめたうえで別れない側に立ちました。
答えが出きったとは、まだ言えません。
そして今も、隣には妻がいます。
数え終えたあとに何を選ぶかは、あなたが決めていいことです。
どちらを選んでも、それがあなたの家の答えになります。
熟年離婚の原因は、ひとつだけではないことが多いようです。
しかも、それが見つかったからといって、行き先が離婚だけとは限りません。
見つめ直す作業は、別れるためにも、もう一度繕えるかを確かめるためにも使えます。
私は、そのうえで別れない側を選びました。
答えは今も出きっていませんが、隣に妻はいます。
お金や法律のことは弁護士や法テラスへ、つらさが強いときは公的な窓口へ、どうかひとりで抱えないでください。
あなたの答えが、あなたを一番楽にしてくれる形になりますように。
熟年離婚を決める前に確かめるお金と心熟年離婚は損得だけでは決められません。別れた後悔と、踏みとどまった後悔の両方を知る50代の夫が、お金と心の順番で書きます。


