
離婚したほうがいい。
そう言ってくる人の気持ちも、その正しさも、痛いほど分かっています。
それでも私は、妻の不倫が分かったあとも、離婚しませんでした。
不倫されても離婚しない理由、で検索したあなたは、たぶん私と似た場所にいる。
別れたほうがいいと頭では分かっているのに、どうしても踏み切れない。
そして、同じ立場の人が何を思っているのか、知りたいんだと思います。
ですが、検索して出てくるのは、一般論か、離婚させたい側の記事ばかりです。
される側が、なぜ別れないのかを正直に書いたものは、なかなか見つからない。
だからこの記事では、実際に約10年間裏切られて、それでも同居を続けている私が、なぜ離婚しなかったのかを、飾らずに書きます。
先に言っておくと、私の理由は、よくある離婚しない理由の、どれとも違うんです。
そのことから、話させてください。
- 一般に言われる、離婚しない理由の整理
- 私が実際に離婚しなかった、たったひとつの理由
- 同居を続けると決めたときの条件と、答えの出ないまま暮らす本音
世間でよく言われる離婚しない理由
まず、一般に言われている理由を、正直に並べてみます。
あなたが踏み切れずにいる理由が、どれに近いか、心のなかで印をつけながら読んでみてください。
- 子どものため。片親にしたくない、環境を変えたくない。
- お金のこと。ひとりになったあとの生活や、老後への不安。
- 世間体や、周りの目。離婚したという事実を、知られたくない。
- まだ情がある、まだ好き、という気持ち。
- 長年の生活を、いまさら壊したくないという慣れ。
どれも、よく分かります。
実際、これらが理由で別れないという人は、世間が思うよりずっと多いはずです。
これらの理由は、恥ずべきことでも、弱さでもありません。
ただ、私の場合、このどれも、決め手にはなりませんでした。
子どものためというには、娘はもう成人して独り立ちしています。
お金や世間体も、正直、ゼロではないけれど、それだけで10年間の裏切りを飲み込めるほど、私は割り切れていません。
では、好きなのかと聞かれると、それも違うと思います。
この最後の理由は、あとで正直に書きますね。
✎自分だけの理由
上のどれかに印をつけて、そこで考えるのをやめてしまいたくなる。
その気持ちは、痛いほど分かります。
私も一時期、子どものため、お金のため、と自分に言い聞かせていました。
でも、自分に言い聞かせただけの理由は、夜中にふっと崩れるんです。
だからいちど、世間の正解を全部外して、自分だけの理由を探してみてください。
答えは、リストの中ではなく、あなたのいちばん奥にあります。
離婚しなかった本当の理由
ここからが、この記事でいちばん伝えたいことです。
先に、ひとつ書いておきます。
発覚するよりずっと前、毎日のように喧嘩をしていた時期がありました。
これだけ喧嘩ばかりでは妻もたまらないだろう、別れてあげるほうが妻のためではないか。
そう考えたことが、何度もあったのです。
それでも踏みとどまったのは、子どもを片親にしたくなかったからでした。
つまり私は、裏切られる前から、別れることを考えていた側の人間です。
それでも別れなかった理由は、愛ではありません。
ひとことで言えば、子どもへの想いです。
私は、自分が先に死んだとき、娘をひとりにしたくない。
ただ、それだけなんです。
離婚しても娘はひとりじゃない、母親がいるじゃないか。
そう思う人もいるでしょう。
でも、うちはそう単純ではありません。
なぜなら、娘は今、妻の言うことを、素直には聞けなくなっているからです。
長い年月で、母と娘のあいだには、それだけの距離ができてしまいました。
だから、もし私が離婚して、そのまま死んでしまえば、娘は妻と絶縁したままで、ひとりぼっちになりかねないのです。
そしてもうひとつ。
妻はもう、子どもを産めない年齢になっています。
だから、娘は、妻にとって、世界でただひとりの子どもです。
裏切られた私が言うのも変ですが、その母と娘を、絶縁させたままにはしたくない。
だから私の使命は、こうなりました。
私が生きているあいだに、妻が少しでも素直になって、常識と思いやりを持てるようにする。
そして、母と娘が、もう一度ちゃんと信頼し合えるようになる。
それに、もし妻がそこまで変わってくれたら、その先には、私自身の穏やかな人生だってあるはずです。
愛のために残った、と書けたら、どれだけきれいだったろうと思います。
でも、それは私の場合、嘘になる。
私に離婚を思いとどまらせたのは、私が死んだあと、大丈夫なようにしておきたい、という一点でした。
裏切った妻にまで、母と娘でいてほしいと願う。
自分でも矛盾していると思います。
でも、これが本音です。
あなたの理由も、きれいでなくていい。
あなただけの理由なら、それでいいんです。
続けるために妻へ出した2つの条件
私は、無条件でやり直すと言ったわけではありません。
やり直すチャンスが欲しいなら、これだけは守ってくれ、という条件を、2つだけ出しました。
- 二度と、嘘をつかない。
- 私の言うことをきき、約束を守る。
たった2つです。
でも、10年間も嘘を重ねてきた妻にとって、これは決して軽い約束ではありません。
私が昔から大事にしてきた考えは、ひとつだけです。
人は誰でも失敗する。でも、それを正直に認めて直そうとするなら、信頼は取り戻せる。
逆に言えば、嘘と裏切りを繰り返す関係に、未来はないんです。
この2つを守れるのなら、私は子どものために我慢すると決めました。
そして、妻は、この約束を守ると誓ったのです。
実際に、守れるかどうかは、正直、分かりません。
でも、守れないと決まったわけでもない。
それでも、条件を決めてから続ける、という順番だけは、譲りませんでした。
発覚した直後は、怒りと悲しみで、まともに考えられませんでした。
でも、感情のままに許しても、感情のままに別れても、あとで必ず後悔する。
そう思いました。なぜなら、一度目の離婚で、後悔しているからです。
だから私は、自分が続けられる最低限のボーダーラインを、先に言葉にしました。
許すかどうかより、何を守ってもらうか。
そこを決めておくと、気持ちが揺らぐ日でも、なんとか立っていられます。
好きという感情の先にある情
正直に言うと、今の妻に対して、好き、愛している、という気持ちは、もう自分でもよく分かりません。
その段階は、とっくに過ぎてしまいました。
でも、それは冷たさや、憎しみとは違うんです。
長く連れ添った人に対して、好きのその先にある、情のようなもの。
空気みたいに、当たり前にそばにいる相手。
うまく言えませんが、好きを通り越した場所に、ちゃんと何かが残っているんです。
以前、妹に、妻の悪口をいろいろ言われたことがあります。
妹は私を思って、離婚してほしいと言ってくれていました。
それは頭では分かっているのに、なぜか腹が立ったんです。
好きかと聞かれたら、好きではないと思う。
それでも、悪く言われると腹が立つ。
この、自分でも説明のつかない感情こそが、たぶん、切り離せない情というものなんだと思います。
✎我慢でも許しでもない
好きではないのに離れられない。
これは、我慢しているのとも、全部を許したのとも違うんです。
長く連れ添った相手への情は、感情の引き算では消えません。
もしあなたが今、憎いのに気になる、嫌いなのに心配してしまう、そんな自分を責めているなら、責めなくていい。
その矛盾は、あなたが薄情なのではなく、それだけ長い時間を一緒に生きた証拠なんです。
家族に反対されても別れなかった
私が離婚しないと決めたとき、家族は、そろって反対しました。
妹は、お願いだから離婚してほしい、これ以上お兄が苦労するのを見たくない、と言ったのです。
娘は、情をかける相手は選ぶ必要がある、と言いました。
最後にもう一度だけ妻を信じてやると私が伝えると、娘は、本当に、本当に、本当にそれでいいのと、何度も聞き返してきたのです。
そして最後に、私のことは、本当にもういいからと言いました。
自分のことより、私を心配してくれている。
その言葉が、いちばん刺さりました。
守りたかった娘に、逆に守られている。
そう気づいて、情けなくて、ありがたくて、どうしようもなくなりました。
家族みんなが、別れたほうがいいと言っている。
ふつうなら、それが答えなのかもしれません。
それでも私は、別れない道を選びました。
あの使命のためです。
この選択が、家族への裏切りにならないことを、今も祈りながら暮らしています。
娘には、10年間も気づかなかった俺たちにも責任はあるんだ、と言い続けています。
妻を一方的に責めさせたくないから、だけではありません。
娘が母を少しでも許せる方向へ向かってくれたら、私がいなくなったあと、娘自身の心が、きっと楽になるからです。
許すために、あえて自分の非を探す努力をしています。
それは簡単な作業ではありません。
それでも、自分と娘のために、私が引き受けた役目だと思っています。
穏やかとは言えない複雑な生活
きれいごとだけでは、終われません。
妻との暮らしが、穏やかかと言われれば、そうとは言い切れないからです。
まず、私が何のあいだで揺れたのかを、正直に表にして並べます。
どちらが正解かではなく、どちらにも痛みがある、という話です。
| 揺れたこと | 離婚するという道 | 離婚しないという道 |
|---|---|---|
| 自分の心の平穏 | 裏切りの相手と、離れられる | 顔を合わせ続ける苦しさが、残る |
| 娘のこれから | 私の死後、母娘の橋渡しができなくなる恐れ | 生きているうちに、二人をつなぎ直せる |
| 自分の人生 | 自分を大事に、やり直せる | 使命のために、残りの時間を使う |
こうして並べても、答えは出ませんでした。
それでも私が選んだのは、別れない道。
理由は、これまで書いてきたとおりです。
ただ、この選択は、穏やかな気持ちで決めたものではありません。
発覚から半年ほどして、妻が病気になりました。
入院と退院を繰り返す妻のもとへ、私は毎日通ったのです。
こんな仕打ちを受けたのに、なぜここまでするのか。
通いながら、何度もそう考えたのです。
それでも、病気の人間を放ってはおけませんでした。
私が残ると決めたのは、こういうときに手を離せない性格だからかもしれません。
発覚そのもののいきさつは、GPSで気づいてしまった日の話に譲ります。
今も、母と娘の距離は、離れたままです。
娘は、妻の言うことを、なかなか聞きません。
それでも、私の頼みだけは、素直に聞いてくれる。
だから私は、その素直さを借りて、二人のあいだを、そっと取り持っています。
休みには帰ってこい、と言えば、帰ってくる。
妻の元気がない日は、疲れているみたいだから話を聞いてやってくれ、と頼む。
たまにメッセージを送ってやってくれ、と伝えれば、娘は送る。
すると妻は、たったそれだけのことを、心から喜ぶんです。
派手な和解では、ありません。
こんな小さなことを、ひとつずつ積み重ねて、二人を少しずつ、縫い直しています。
正直に言えば、今も、仲のいい家族や夫婦を見かけると、胸が締めつけられます。
うちには、もう二度と訪れない未来だ、と思ってしまうからです。
続けるという選択は、痛みが消える選択ではありませんでした。
それでも私は、この道を歩いているのです。
答えが出ないまま生きるというのは、たぶん、こういうことなんだと思います。
同じ痛みを抱えている人に、あなただけじゃない、とだけ伝えたい。
この選択が正しかったのかは、今も分かりません。
殴って追い出す道も、たしかにありました。
もっと自分を大事にする生き方も、あったと思います。
それでも、答えが出ないまま、今日も妻は、私の隣にいます。
!まず自分を守る
どちらを選ぶにしても、慰謝料や離婚、証拠の扱いといった法律のことは、勢いで自分だけで動かないでください。
そこは弁護士や法テラスといった専門家の領域です。
素人判断で動くと、あとで自分が不利になることもあります。
そして、眠れない、食べられないほど心がつらいときは、公的な相談窓口やカウンセリングを、どうか頼ってください。
ひとりで抱えないでほしい。
最後に、もしあなたが、少しの寂しさや辛さから、誰かのもとへ逃げようとしているのなら、ひとことだけ言わせてください。
⚠逃げだす前に
少し辛いから、と誰かのもとへ逃げても、その先で待っているのは、もっと深い辛さかもしれません。
一度壊れた信頼を元に戻すのは、思っていたよりも、ずっと難しいものでした。
家族から向けられる、冷たいまなざし。それは、今の状況よりも、ずっとこたえます。
責めているのではありません。
ただ、動きだす前に、あなたの手のなかにあるものの大きさを、少しだけ思い出してほしいんです。
正解はあなた自身のなかにある
ここまで読んで、拍子抜けした人もいるかもしれません。
離婚しない理由が、愛でも、お金でも、世間体でもなく、使命だと言うのですから。
でも、これが私の答えでした。
そして、あなたに伝えたいことは、ひとつです。
答えは、世間ではなく、あなたのなかにしかない。
子どものためでも、情のためでも、自分の平穏のためでも、かまいません。
あなたが本当に守りたいものが理由なら、それが正解です。
自分の選択が正しかったのかは、今も証明できません。
それでも、迷いながら選んだこの道だけは、後悔しないと決めました。
だからあなたも、誰かの正論ではなく、自分の理由で、一歩を進んでください。
ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
離婚しない理由に、正解はありません。
子どものため、お金のため、情のため、どれも本物です。
私の理由は、愛ではなく、娘をひとりにしないための使命でした。
あなたの理由も、きっとあなただけのものです。
世間の正解ではなく、あなたが本当に守りたいものを、静かに見つめてみてください。
どちらを選んでも、あなたが後悔しない明日にたどり着けますように、そう願っています。
婚外恋愛と不倫の違いに潜む本当のリスク婚外恋愛とは何か、不倫との違いを押さえたうえで、妻に約10年間続けられた夫が、言葉の裏で家庭に起きたことと気づいた日の初動を実話で書きます。




